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えっと強制移住の40倍が正しいですか?

先のNHK記事のリンクがいつのまにか切れていた。
NHKニュース9では2000万ベクレル、といっている。切れたサイトは200万なので4倍なんだけど、要は40倍、っていうわけね。
「今」のNHK記事リンクはIAEA基準超の放射性物質
TVの解説者はIAEAのいうことじゃなくて政府のいうことを聞きなさい、といっていますね。
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チェルノブイリ強制移住の約4倍なんですけど

家に帰ってきてtwitterチェックしてたらすごい数字の記事が紹介されてた。

IAEA基準超の放射性物質

IAEAが福島第一原発から北西におよそ40キロ離れた福島県飯館村で、土壌から1平方メートル当たり200万ベクレルの放射性物質を検出したとのこと。
先日、京大の今中先生は同飯館村での文部科学省の発表値から、326万ベクレル/m2と推定していた。
それと同じオーダーの数字がIAEAに実測されていたわけだ。
これはチェルノブイリ原発事故によるベラルーシ等の強制移住基準55万5千ベクレル/m2の4倍近くの数字だ。
現在の行政の判断は30km以遠は対策の必要なしということになっている。

ひとつの報道だけですべては判断できない。だが・・・。

とりあえずできることとしては、とまたメールを送るぐらいしか今は思いつかない。
(今朝、官邸のご意見募集担当の方から返信もきていたので・・・。意外でしたが・・・)

****************************
内閣総理大臣 管直人様
官邸ご担当者様

ご返信、ありがとうございました。
福島第一原子力発電所より40kmの地点でIAEAにより200万ベクレル/m2の放射性物質が検出されたという報道がありました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110331/k10015014471000.html

チェルノブイリ原子力発電所の事故によるベラルーシ共和国での強制移住基準は15キュリー/km2=55万5千ベクレル/m2と伺っています。
できる限り早急に、国による土地の汚染レベルの検査と関係する危険地域からの避難の実現に向けて対処していただきたいと考えます。
また、今回お願いいたしました被害予測にSPEEDIをご活用いただき、すみやかに公表いただきますようあらためてお願い申し上げます。

今、危険にさらされている多くの命を早急に助ける緊急対応と、生活する市民が自ら判断するための基準をお伝えいただきたいと思います。
あらためて申し上げますが、放射線の影響は確率的影響があり、少なくても多くてもそれなりのリスクが将来生じると聞いております。
ただちに影響はなくても、将来が心配なのです。推定される影響程度により、それぞれの個人が、それぞれの立場に応じて判断していくしかありません。
その手がかりが必要なのです。日本政府はその手がかりをかなりの確からしさで伝える力を持っていると思います。
ぜひよろしくお願いいたします。

On Thu, 31 Mar 2011 08:57:21 +0900
首相官邸HP発信専用 wrote:

>  ご意見等を受領し、拝見しました。
>   首相官邸ホームページ「ご意見募集」コーナー担当

****************************
やれやれ。

日々の生活

ノルウェーのサイト、昨日いっぱいはアクセスできなかった。一説には日本からアクセスが集中しているのでは?とうのもあったけど・・・、本日7:00現在、回復している。

ノルウェーのI-131拡散シミュレーション
※以前にご紹介したサイトと同じ

この手のシミュレーションは他にもドイツ、オーストリア等であるみたいだ。

ドイツ
※下の画像のLOOP STARTENをクリックするとアニメーション

オーストリア
※Unfall im japanischen Kernkraftwerk Fukushimaの一番新しいUpdateをクリック
表示されたページにアニメが自動再生されない日は、最下部の"download"からアニメを再生できる。

指標もそれぞれ違うだろうから、結果はイロイロだ。
ぜひ、当事国日本も出してほしい。SPEEDIがあるのだから。予測のためにあるのに、まだ過去分を23日に発表しただけ。
過去の「大本営」の失敗を繰り返さないでほしい、と願うばかりだ。

現状の放射線レベルをできるだけ早く知るには
原子力資料情報室の他にボランティアの方のネットワーク、R-DAN 市民放射線測定数値マッピングというのがある。

さて、昨日までの群馬の空間放射線のレベルの集計(3/15-30)
群馬放射線積算値20110330
測定期間(日数) 16 日間
期間積算値 34.797 μSv
推定年間積算値 794 μSv/年
通常の年間積算値 166 μSv/年
推定/通常 4.8 倍
平均天然放射線(世界) 2400 μSv/年
一般公衆の線量限度 1000 μSv/年


群馬は東北・関東では幸い空間放射線、放射性降下物など少ないほうだけど、放出が収まらず、このままの傾向が続くとすれば年間では通常の約5倍である。これだけで一応の線量限度の約8割に達する。それに空気や食べ物から取り込む内部被曝が加わる。

ウチの家族や畑の事もそうだが、被災地や他の汚染が大きめの地域のことを思うと気が重い。
なんとか事故の終息を願いたいところだ。もっとも本家本元からの放出が続く限り、季節がかわれば、高濃度地域はどんどん広がっていく。そうなればどこでも状況は同じだ。

放射線地帯で捜索活動を行う警察の方々の映像があった。
防護服着用で捜索活動

だれもかれも不安要素は山積み。不安が増せば、往々にして攻撃力に変換されやすくなる。
こんな時は体を動かすのが一番いいようだ。
再び田口ランディさんの文章を紹介させていただく。
不安は悪い未来の先取り

さて、私も畑にいこう!・・・ってもうこんな時間か、まずい^^;

安心・安全を超えて2

28日の
安心・安全を超えて
を書くのは正直、結構時間がかかった。でも作業時間を削ってでも書かざるを得なかった。これを書くことがBlog開設の大きな理由だったから。

長い文章を読んでいただいた方はどう思っただろうか。
また、昨日の百姓仲間、あきらめちゃいけない!を読んで、「こいつは放射能汚染の野菜をくえっていうのだろうか?」と思った方も中にはいらっしゃると思う。

自分や家族の体をいたわり、安全な食べ物を求めるのは当然のことだ。小さなお子さんや体に不具合を抱えている方はなおさらだろう。

そんな方に、かなり前から「安全・安心を超えて」のような話をしたいと考え、直接話ができる場合はしてきたつもりだ。しかし、いつもうまく伝えられない。
今回もどうもそんな気がする。

伝えたいことはなんだろうか?

食べ物は天然の毒があるからもともと危ない、だから農薬や放射能がちょっとくらいあったって気にしなくていいんだよ・・・。
ということじゃない。

レイチェルカーソンは素晴らしいと思う。自らの観察で、大切な告発をした。著書「センスオブワンダー」を読んだ時間は私にとっても極上のものだった。
だけど、彼女の告発から始まった社会的な風は、結果世の中を動かしている。今や、少なくとも現在の農薬は「安全性」ということにかけては、魚毒性も含めかなり改善されていることも事実のようだ。
近隣の農家の方の弁、「おやじの代は農薬しょって撒きながら畑をいってかえってくると、虫はもう死んでたけど、このごろの薬はぜんぜん死なねぇ。」
で、「かといって量を増やすわけにもいかねぇからなぁ(^^)」

農薬は改善されている、少なくとも作物中の天然毒と比べて、無視できる程度まで小さくなっているということはお伝えするべきだと思う。当然、規定通り使った、という前提だが。

そんな状況の中で、「安全性の観点」から考えたとしても、食べ物に農薬が絡んでいるかどうかということに、現在はあまりに多くの労力をかけすぎているのではないか。「安全性」は大切だ。だけど、「安全性」にとって、農薬はもはやあまり大きなファクターじゃない。だから、農薬をかけていないから安全だ、というのは神話に過ぎないんだ。
それよりももっと別の観点でも食べ物をとらえた方がHappyなんじゃないか?
というのが、百姓を何年か続けたときに考え始めたことだ。

ちなみに、10年ほど前になるが有機JAS法の講習会を受けた時に、農水省の講師の方は言ったものだ。「有機JASの農産物は安全性を保障するものではありません。」この言葉を聞いて、その時実は私、驚愕した。
調べてみると、有機JAS法は「農業の持続可能性を高めかつ生物多様性含む農業生態系の健全性を進めるため」の国際規格を踏襲したものなのだから、この講師の弁は当然であることが後にわかった。(農産物の安全性は「GAP」という規格で担保されている。)

たとえばトマトはひとつひとつ個性があり、まったく同じものは一つとしてない。だから五訂増補食品成分表に載っている栄養はあくまで目安。
値段や食品表示がない世界にもし行ったとしよう。
ワタシ(生き物である人間)にとって、どのトマトがいいのか?という選択をするとしたら、人間の進化の歴史と、民族的文化と、おかぁちゃんの教えで普通の人は決めるだろう。生き物としてそれが一番正しいはずだ

それが「おいしそうか、おいしそうでないか」だと思う。

さて、「おいしさ」とはなんだろうか。食べてみて、甘いものは人気がある。当然だ。
甘さはエネルギーのサイン。飢餓ベースで進化してきた生物の正常な反応だ。
だが、甘さ以外の味を知っている人は、選択の過程の中で、様々なアミノ酸や有機酸、ビタミンといった「恵み」をとることができ、心と体がよろこぶはずだ。食べたひとはHappyになる。
アミノ酸や有機酸やビタミンは健康な食べ物にこそ豊富に含まれ、これはざっくりいって豊かなおいしさの源だ。

そのおいしさを知れば、子どもにも隣の人にも伝えられる。「おいしいね」と言い合えば、その人との関係性もHappyになる。食べてくれる人がいるからこそ、それをはぐくんだ畑の生き物も、畑が持続することによってHappyになる。畑が持続することによって、地域の生き物もHappyになる。Happyが拡がっていくのだ。

いや、こりゃ、当たり前のことだね。みんなそんなこと知ってる、と言われそうだ。しかし、それが結構なおざりにされてないだろうか?
スーパーで野菜を選ぶ場合には、実際には「おいしそうか」の観察の他に、「値段」と原産地その他の「表示」が考慮の対象だ。家庭の食卓を担う方はこれを一瞬でやりとげている。すごいことだ、と正直思う。
おいしそうか、おいしそうじゃないか?の装いは偽装が可能であることはみんな知っている。その偽装を見抜く一つの手段として、食品表示があるわけだ。

食べ物は天と地と生き物がつくる、と前に書いた。農薬を使ってなければ、生き物の力が関わっている可能性が高いわけだから、それはおいしくて高品質な食べ物である可能性が高い。私もそれを狙っているわけだ。しかし、それとて油断はできない。天然素材の有機物で作った堆肥やぼかし肥料だって、与えすぎれば作物はメタボになる。食べ物としては、メタボになれば、はっきりいって×だ。栄養価は低くなり、硝酸態窒素、リン等の集積で体にも悪いという話も聞く。おいしいはずがない。実際、メタボな有機農産物は意外に多い。

人にとって大切なファクターである食べ物の「安全性」は、その味・栄養価とともに食べものの本質を作るひとつの要素だと思う。ただし、完全な安全性は完全な味、完全な栄養価とともにあり得ない。

だから、私は多くの人にこう説明させてもらってきた。
「ざっくりいえば、食べ物の選択は「おいしさ」と「信頼」を基準だと考えたらいいと思う。そしてそんな食べ物を種類いろいろ、バラエティを大切にして選んだらいいと思う」

まずは「おいしさ」だ。おいしい農産物は、健康に育った野菜だ。そんな野菜は栄養価が高く、「食べるべき野菜」だと類推できる。だけど、固有のNegative Factorもありうる。だからいろいろたべるんだ。
次に「信頼」だ。信頼に足る人物が扱っていたり、作ったものなら、安全性は納得できる範囲であると類推できる。
「おいしさ」と「信頼」を過小評価し、生産履歴や表示だけで野菜を選ぶとしたら、私は"Happy"から遠ざかると思っている。

だから生産者として、私がするべきことは1.おいしいものをつくること2.信頼にたる生産者であること に他ならない、と思っていた。
おいしいものを作るためにもっと日々研鑽するべきだ。信頼を得るために、もっと話をしに行くべきだ。畑にももっと来てもらうべきだ。一番大切なのは正直に話をすることだ、と考えている。一番最後のところを、このBlogにも担わせている。

しかし、ことはおいつめられて・・・だった。

放射能汚染は、地域の食べ物すべてに、ほぼ同じように降り注ぐ。それが食べ物としての本質にどこまで影響するのか、測りかねている。
だから、
3.今は注意してみている。

ちょっと注意かな?

ノルウェーのI-131拡散シミュレーション
(30日9:00現在このサーバーは不調のようだ。そのうち回復するだろう)
によると南関東は31日、被災地は翌1日についてちょっと注意かな。
ここのところ海側への風ばっかりだったというのと、現地の状況を考えるとね。
気にしすぎはよくないが・・・。

東京の放射線計測値に関してはCNICの独自計測の発表が多分もっともはやい。
原子力資料情報室(東京都新宿区)での放射線の測定結果

ところで秀逸なサイトを田口ランディという方が紹介されていた。
この映像を見てなにを感じますか?


批判もあるようだが、私なんかの日常生活ではこの程度のイメージ把握が大切だ。気になる状況になったら、それだけで判断せず、原典を含む他の情報にあたったりすればいいと思う。

百姓仲間、あきらめちゃいけない!

福島の野菜農家の方の悲報が届いた。

福島の野菜農家が自殺 摂取制限指示に「もうだめだ」

今回の事故は土地と共に暮らす百姓にとっては、なんとも厳しい。特に原発に近けりゃ近いほど心中お察しするに余りある。そんな中での悲報だ。

でも、放射能が降ってきたって、まだあきらめるには早いのだ。リスクには無視できる程度のリスクだってあるのだ。それは科学が決めるんではなく、人がきめるんだ。科学は決めるための材料だけ提供してくれればいいんだよ。
10年たてば、「あの程度ですんでよかった」と思える可能性だってあるんだぜ!
今を生きるために、今まで以上に耳をすますことにしよう。

事態はやはり予断が許されない状況が続いている。これは文字通り、多くの人にとって、まだ決められない状況ということ。

本日ただいままでの時点では、プルトニウムが確認され、建屋外で1Sv。悲しくも原発から5kmで遺体も収容できない現地の状況。
どうもダダ漏れ状態、ところどころで放置(ていうか手がつけられない状況?)が始まっている気配と感じるのはおおげさか。

しかし、もちろん、あきらめるにはまだ早い。当局発表を待つだけじゃなく、それこそ冷静に原発付近を含む放射線レベル、降下物と気象条件に真剣な注意が必要な状況なのではなかろうか。

原発から5キロの地点に男性遺体 放射線量多く収容断念

東日本大震災:福島第1原発事故 建屋外でも1000ミリシーベルト 冷却足踏み

福島原発の土壌からプルトニウム 東電発表「ごく微量」

保安院 炉心溶融 震災当日に予測

 ↓原子力資料情報室会見:1,2,3号機とも原子炉圧力容器の底に穴
  (最初の方は音が入ってないようだ。すこし飛ばしてみてください)








Video streaming by Ustream

土壌汚染の報道

もう3日前になるが、25日、文部科学省が福島県内各地の放射能の測定結果を公表している。私が読んだ記事は24時間の積算値が年間線量限度の1mSvを超える地点があったことや、基準を超える値を示す水があったことが記されていたが、他の記事によると土壌も検査していたようだ。
発表された放射性セシウムやヨウ素の数値はなぜかkgあたりの数値となっていて、京都大学の今中哲二氏がこの数字をもとに土壌汚染で重視される放射性セシウムの値を通常用いられるm2あたりの数値に換算し、チェルノブイリのケースと比較している。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/iitate_imanaka_estimate20110325.htm

文部科学省の土壌の採取方法は不明として、サンプル土壌を厚さ2cmにまいて戻したと仮定して計算している。あとは私たち農家の土壌分析をする時の(どんぶり?)仮定と同じで、土壌の重さを1000kg/m3(比重:1)と仮定して、m2あたりの放射能に換算した。結果、チェルノブイリの時の永久に戻ってこれない強制移住措置がとられた数値の6倍だとした。
この数字を聞いて、この土地に関わる人々の気持ちはどんなものだろうか・・・。なんとも申し上げようがない。

さて、文科省は土壌をどのようにサンプリングしたのだろうか。今中氏の推定のように表面をすくいとった可能性が一番高いだろう。しかし、もし深さ1cmだとしたらm2あたりの放射能値は1/2になる可能性はあり、10cmだとしたら5倍になるかもしれない。ホントのところを知っているのは文科省だけだ。

責任ある立場の人たちがなぜこんなあやふやな発表ばかりしているのだろうか。あやふやだったら、悪いほうへ勘ぐりたくなるのが普通なのだ。その社会的リスクに対してあまりに、あまりに鈍感だ。

また、今中氏は飯館村のヨウ素の値から早急に住民を避難させるべきだと語っている。飯館村は23日のSPEEDIの中途半端な発表でも注意せざるを得ない地域だ。

今や原子力資料情報室の会見の顔ともなっている崎山比早子氏がいる高木学校のサイトでも、このSPEEDIの件で警告を発している。
http://takasas.main.jp/

一方与党の幹事長は、食品の放射能暫定基準値について「厳格さを求めすぎで風評被害につながる」と発言しているらしい。
http://www.asahi.com/politics/update/0327/TKY201103270127.html

厳格で客観的な公表と、「ただちに~」という紋切り型の説明ではない、リスクを含めた数値の解釈の仕方の誠実で丁寧な説明がないことこそが、風評被害を生み、マグマをため込ませるのだ。

当局の人たちは、普通の人をこども扱いするのをやめてほしい。それはそのままあなた達にかえっていく。
しかし、自戒を込めていえば、私たちは彼らをこども扱いするべきではないはずだ。それはそのまま私たちに帰ってくる。

なんか、こんなACのコマーシャル、いっぱい流れていたような・・・(^^)

安全・安心を超えて

今回はいつもに増して長くなります。しかもいつもどおり文字だらけです。ごめんなさい。

・安全・安心とはいえなくなった時代

これから先、空から放射能がどれくらい降ってくるか、わからない。
これから先、野菜がどれくらい放射能を吸うかもわからない。

今回の事故により、「有機や自然農法の野菜でも放射能に汚染されたら農薬野菜と同じだ」と嘆く生産者もいるようだ。
たしかに放射能が降った地域で生産された野菜は「安全・安心」とはもう言えなくなった。

深刻な原発事故と連日の報道を受けて、日常食べるのものについても、人々が心配し、不安になっていることはよくわかる。それは私も同じだ。
特に小さなこどもたち、妊娠中の女性が身内にいる場合はなおさらだろう。
しかし、生産者である私にとっても農産物への放射能汚染の影響はいまだ十分な形で見えてきていない。

私達(つまり私と妻)が化学農薬や化学肥料を用いない農法で野菜をつくっていることは確かだ。しかし、あえて誤解をおそれずいえば、それは安全な農産物を作るためではない。

もし、安全・安心ということばが、有機農産物や自然農法の農産物が、非の打ちどころがなく安全・安心という意味だとか、そこまでいかなくとも、それらが化学農薬や化学肥料を使った農産物に「比べて」安全・安心という意味だとしたら、そういう安全・安心な食べ物というものは実際にはありえず、それを直接的に求めるのは得策ではない、というのが私の持論のひとつめだ。

私達の野菜を食べてくれるお客さんの中には、「いつも安全な野菜をとどけてくれて感謝です」といってくれるお客さんもいる。私達は今まで一度も「安全」とか「安心」とかの言葉を自分の野菜にくっつけたことはない。だけど、そういってくれるお客さんは自分たちに対して「信頼」を表現してくれていると思っているので、素直にその言葉をいただき、私達も深く感謝している。

だが、一方では私達の業界が「安全・安心」の言葉を多用していることに、危うさを感じていたことも事実だ。そういう現状認識にも関わらず、それに対して、自分ができることが限られていて、いつも無力感を感じていた。
なぜ危ういとおもったのか。それはその言葉がちょっとしたことで全部ひっくりかえってしまう可能性があると考えていたからに他ならない。
いま、いよいよ「安全・安心」はひっくりかえった気がする。

「安全・安心」という言葉には実は中身がない。
いまからその理由を説明したい。

1.水を含め、すべてのものは過大な量を体にとりこめば毒になる、というのがひとつ。どんな体にいいといわれているものでも量のコントロールを誤れば、なんでも毒になりうる。
2.植物である作物は、多くの昆虫や動物からの捕食を免れるためにそれぞれの方法を使って自己防衛してきた、という進化の歴史を経ている。その中で殺虫剤に使われているような成分を自ら合成する植物もあり、微量ながら普通の作物でも天然の毒性物質を含んでいることは通常よくあること。
たとえばDDT全盛時代のアメリカで普通の人が農産物経由でとりこんだDDTは、そのアメリカ人がレタスによってとりこんだ天然毒性物質の1/20の発がん性しかなかったという報告もある。
ビョルン・ロンボルグ:環境危機をあおってはいけない,文藝春秋(2003)に掲載された論文だが、中西準子さんという学者のサイトでも紹介されている。
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak266-1.GIF

詳しくは
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak266_270.html
を参照ください。

この真偽のほどはホントはわからないと思うが、「DDTに比べて」普通の食品が決して安全とは言えないという可能性はあるだろう。コーヒーやアルコールはもっとリスクがありそうだ。
なぜこういう話になるかというと摂取量を考慮しているからだ。レタスと同じ重さのDDTを摂取したら穏やかな結果ではすまされないだろうが、そんなことは普通はおこらない。

また、平野千里:原点からの農薬論,農文協(1998)には、次のような事例・報告も紹介されている。
A)キャベツ・ケールに含まれるプロゴイトリン
アフリカ中央部で、宣教師がもちこんだキャベツを食べた現地の人々においてプロゴイトリンという含有物質が原因の甲状腺肥大が多発した。海藻由来のヨード摂取量が多い地域ではこうはならないが、内陸部でヨードが十分ではないために起こったとされる。
B)ダイコンに含まれるイソチオシアネート
(健康雑誌ではがんになる前の異常化した細胞の増殖を抑えるファイトケミカルという記述もあるが)慢性の肝障害、腎障害を起こす可能性が高いとされる。
C)セロリ等のセリ科に含まれるフラノクマリン
光増感作用(皮膚にはやけど、目には視力障害)があり、紫外線下でDNAへの変異原性がある。
セロリのフラノクマリン濃度は低いが、菌核病等のストレスを受けるとこの合成系が活性化し、急激な濃度上昇をおこす。
D)(先のDDTの発がん性についても報告した)B.Amesによれば、農作物に付着して摂取される合成農薬などの人工化学物質の総量は一人当たり0.1mg以下/日に対して、天然の有毒化合物は1.5g/日に達すると見積もることができるとしている。

製薬会社が膨大なコストをかけて毒性を評価し、残留しないことが確かめられている農薬は天然毒性物質よりも安全なのかもしれない、といったら言い過ぎだろうか。

3.毒は薬にもなる(^^)
薬は文字通り、ある種の毒性物質。一方、毒がまったくない中で育った子供は、虚弱になるような気がしないだろうか。
作物も時には乾燥ストレスを与えたり、食酢や木酢液で酸性ストレスを与えることにより、多少の気象変動などものともしない、強健で栄養豊かな作物を収穫することができる。ただし、これには土壌や日照といった基本的な生育条件が整っていることが必要。
こんなことをいっても怒らないでほしいが、健康で栄養豊かな食物である限り、多少の毒性物質はむしろ望みたいものといってしまいたくなる
フキノトウはこの季節、旬の野菜。このほろ苦い味は他に代えがたいものだが、これには発がん性があるといわれるアルカロイドが含まれている。しかし、この少量の毒物が冬の期間眠っていた免疫機能を目覚めさせ、春から夏にかけて病原菌や負荷の高い環境に体を備えさせる役割があるともいわれている。ワクチンみたいなものだ。


つまり、作物はそれぞれ固有の毒を含み、どれも食べ過ぎれば問題が起こる可能性が高いものだ、ということだ。それによる健康への影響を避けるためには、毒をさけて食べ物を選択するよりも、なるべく多くの種類の食べ物をたべる、ということで対応することが最も得策だと考える。
そのことを考えた場合、農薬をつかっていないだけで、国産というだけで「安全・安心」といえるのだろうか?

・化学農薬と化学肥料を使わないわけ
化学農薬については、レイチェルカーソンが沈黙の春で告発した時代と今はその成分や利用方法が大きく異なっている。日本で定められた使用方法で利用している限り、作物中の天然毒物と比べればそれによる健康被害を真剣に考える必要はあまりないのではないだろうか。

さて、私達が化学農薬や化学肥料を使わないのは、安全性のためではないと書いた。
それらを使わない理由は、作物が天と地と生き物の恵みでつくられると考えているからだ。
農薬や化学肥料、特に農薬は劇薬のようなもの。急性障害が出てどうしてもリカバリーしなければいけないときは有効だろう。しかし、副作用も大きいのだ。
副作用として無視できないのは、土壌中の生物相を破壊してしまう可能性。作物はその生育において、土壌中の微生物や小動物をはじめとする生物環境に多くを負っている。それを無視した栽培も確かに可能だが、それは人間でいえば栄養点滴だけで子供を育てようとすることと同じだと思っている。
生き物は生き物が育てるのだ。

土壌中の生き物たちの関係性は一朝一夕でできたのではなく、それなりの時間を経て形成されたもの、大切にしなければならない。

栄養点滴だけで育てられた作物と、生き物によって育てられた作物。その違いを体感されている方も多いのではないだろうか?私は就農するためにこの地にきて、野菜の本当のおいしさを知った気がする。慣行栽培でも近所のおばあちゃんの作った野菜がうまいのだ。
その理由はしばらく謎だったが、だんだんわかってきた。当地は農業の条件不利地である中山間地。圃場整備や土地造成とはほぼ無縁の土地だ。
その中では非効率といわれる小規模の田んぼや、法面(斜面)ばっかりの畑が存在する。素掘りの側溝・水路もまだまだある。
そうした中ではスキマがたくさんあり、生き物が暮らす空間もいっぱいあるのだ。また、大規模に化学農薬や化学肥料を散布するほどコストをかけられない経営が多いというのもあるだろう。廃物利用としての堆肥(生き物の餌である有機物)施用の継続も生き物をはぐくみ、彼らの存在が良質な農産物を作る基盤をささえているのではないか、と今は思っている。

・ざっくりいって、だが

ざっくりいってだが、おいしい野菜の「おいしさ」は健康に育っている証拠だ。さらにざっくりいって健康な野菜は栄養価が高く力があり、たべるべき野菜だ。私には自信がないが、化学農薬・化学肥料をもし十分な知識により賢明につかうことができれば、それでも、たべるべき野菜ができると思う。

野菜の選択は安心・安全という売り文句や一点のけがれもない栽培履歴ではなく、「おいしさ」と、生産者やそれを売ってくれる人が「信頼」できるかどうかで選ぶべきだというのがふたつめの私の持論だ。ざっくりいって、だが。

おいしさは、食べた人のからだと気持ちをHappyにする。一緒にたべた相手もHappyにする。食べた家族をHappyにする。おすそ分けした人をHappyにする。

地震が起きてこのかた、メディアで繰り返し流されるのは、政府の要人や学者の人たちの「ただちに健康に影響はない」という言葉だ。
これは「国産だから安心・安全です」「無農薬なので安心・安全です」という私たちの業界売り文句とダブって聞こえてきた。
ただちに健康に影響がない、ということは長く見れば影響が「ありうる」ということであり、その影響がどの程度かにより、対処が必要か、また対処ができるかどうかは
人により変わるわけだ。

そんな個々人の事情を無視して「あなたは安全だ」なんてどうして言えるのか!なのだ。原発事故の当局者は、個人の判断のよすがになるデータとその解釈について助けになる情報を、すみやかに、たとえ面倒で時間がかかっても、開示する必要がある。
それを言わないのは、相手(私を含む普通の人)を信頼せず、子供扱いをしているからではないのか。

食べ物には昔からリスクは付き物であり、それとなんとか付き合いながら人は世代をつないできた。
しかし、今回の事故によって放出され、これからも放出されるかもしれない放射性物質による作物への影響についてはたしかに別物だ。なぜなら、生産者がだれであろうと、場合によっては地域がどこであろうと、等しく同種の悪影響が及んでしまうという点だ。これでは、「いろいろなおいしい食べ物を食べる」という戦略が通用しない。

しかし、放射性物質によるリスクが、もし十分に小さければ、「食べ物の効用」と比べて無視してもいい、というのは「今までとおなじだ」と私は考える。

では、どれくらい十分小さければいいのか?

それは、個々人が自分の判断できめるしかない。当局がそのための情報ー継続的なモニタリングとその数値の解釈に役に立つ付帯情報ーを誠実に、広く公開し、それを私たちが粘りづよく見つめ、やはり誠実に考えていくしかない時代になった、ということだと思う。
国際放射線防護委員会(ICRP)によれば、放射線の影響の中には「確率的影響」というのがあるそうで、それは放射線の量によって、将来がんになる確率が増えたり減ったりする、というものだ。これはある値以下なら影響がない、とはいえない性質のもの。だから、同じ放射線量でも個々人の条件に応じて対応がかわるべきしろものだ。
難しい判断の典型だが、私たちはこれに向き合わざるを得なくなった。

・食べものの効用

さて、「食べ物の効用」と書いた。食べ物は私たちと私たちの家族の、からだと活動のエネルギーとなる。だから、私たちはすぐれた食べ物を選んで食べるべきだ。改めてざっくり言わせてもらえば、おいしく、信頼できるものほど効用が高く、そこに含まれるリスクが「受け入れられる条件内」である限りにおいて、それを選ぶべきであることは今までとなんら変わらないのだ。

しかし食べ物の効用はそれだけではない。食べ物のひとつである作物は、天と地と生き物のめぐみで作られるわけだが、作物だけでなく、生き物はそれぞれすべて、天と地と他の生き物にささえられている。
ウチのキュウリ畑にいるアマガエルはウチの畑を支えている命のひとつだ。実は私もその意味では同列である。

生き物のなかには人間も入っていて人間も他の生き物をささえている。
人間が作物を食べることで、作物がつくられた田・畑・里山・奥山・地域の生き物たちが、ささえられている。おいしいものを食べることにより、田んぼも畑も、里山も、日本も、地球もHappyになるはず・・・だ。


放射線のリスクはまだわからない。わかる為の情報は切実に欲しい。しかし、仮にそのリスクを私達は許容できるとした場合、
生産者として、私達は放射線のリスクを超える生産物を提供することができるだろうか?
食べてくれる人に、私達は放射線のリスクを超えるどんな話をできるだろうか?
それが問題だ。

野菜の放射能汚染を考える

放射性降下物、現状ではかなり下がってきている。文科省のデータを都道府県別にグラフ化したサイトで見るとわかりやすい。とりあえず、よかったぁ~!
http://atmc.jp/ame/


今後の雨の時の数値に着目だが「なんとかこの状態が続くとすれば」1960-70年代の核実験時代と比べて格別ひどくなることはないかもしれない。
同じサイトの水のデータを見ると増加傾向が多いが、降下物の減少に遅れてこちらも下がってくるのでは?と思いたいところ。

さて、野菜の放射能汚染が心配されている。A)汚染で考えらえるのは放射性降下物が直接付着する場合と、B)農地経由で放射性物質を取り込む場合がある。
事故初期で降下物が多いときは当然A)が多いだろう。「なんとか原発の制御にいくらかは成功」して降下物がそれなりにオサマッたとしても、土壌や水には既におちてきたそれらが存在しているわけでB)が大きくなってくるだろう。

想像するに、今現在の農産物の汚染は落ちてきたものが直接表面に付着したものがほとんどなんじゃないだろうか。これは洗えば洗うだけ減ってくれるはずだ。
しかし、これからは、それを作物が吸収して作物体内に取り込む量が増えると考えらえるわけで、これは洗っても落ちないだろう、やっぱり。
だからなによりこのB)への影響が心配で放射性降下物の総量は気にせざるを得ない。

旧科学技術庁が日本原子力産業会議に委託した「大型原子炉の事故の理論的可能
性及び公衆損害額に関する試算」(1960)というのがある。
和文タイプの文章を、ある方が(おそらくボランティアであろう)HTML化して公開されているのが目に留まった。
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/lib/sisan/index.html

関連Webもついでにご紹介
http://trust.watsystems.net/jikosisan.html
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/column/GENSAN60.html


これは燃料交換後4年運転した熱出力約50万KWの原子力発電所で大事故があった場合を想定したもの。

この中に「附録 (E)放出放射能の農漁業への影響」
という項がある。そこでは上記A)とB)を分けて考察している。
B)に対応する「II 農地汚染による作物の汚染度の推定」を見てみる。

これによると半減期の長短や作物・人間の吸収特性からストロンチウム(Sr89、Sr90)と、セシウム(Cs137)が問題になるらしい。今問題になっているヨウ素131は半減期8日と寿命が短いので作物の吸収による人間への影響はないということで除外されている。

一方Srはカルシウムとよく似ていて、Csはカリとよく似ているようだ。
カルシウムもカリも、人間にとっても作物にとっても大切な元素であり、ばんばん吸収する。それに伴ってSrとCsも吸収するわけだろう。人間でいえばSrは骨、Csは筋肉等によくとりこまれるとのこと。

試算結果を見てみる。
ここで表示されているのは単位は「C」だがおそらくキュリー「Ci」かな。そうだとすれば1[μCi](マイクロキュリー)=0.037[MBq](メガベクレル)

想定は「1C/m2の放射性降下物」があった場合。ここで表記されている「1C」が1Ci(キュリー)とすれば37,000MBq/㎡というすげぇ数字だ。ひょっとして1μCiの間違いかとも思ったが、そうすると計算結果の数字がどうも変だ。1C=1μCiとしてその放射能がすべて(数ある放射性核種の中の)セシウムだけによると仮定しても、示されている計算式にしたがって計算してみた数字が、結果として表記されている数値よりも3ケタも少ない。

37,000MBq/㎡とすればkm2に換算するには37,000を百万倍しなけりゃならん。
Csはチェルノブイリの時に日本で観測されたのは月あたり300MBq/km2くらいだったが、東京では一時的に21-22日の雨の日に5300MBq/日を記録している。この数字は「核実験時代の3倍」とも報道された。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/23/1303977_21_22.pdf
37,000MBq×百万倍/km2ということは5,000MBq/dayの日が約7百万日続く必要があるので、2万年だね(^_^;)
しかし大事故というのはそれくらいのレベルなのかもしれない。このへんはもうちょっとこの報告書を頭からきちんと読まなきゃダメなんだろうね。

さて、、気をとりなおして、この報告書の想定した原発大事故での作物汚染の予測数値をご紹介しよう。

米麦を含めたなかで一番影響が多い野菜について書き出す。

全放出(原子炉のなかみ、気体・液体・固体がほとんど出た?)の条件
Sr89 140μCi/kg=5.18MBq/kg=5,180,000Bq
Sr90 18μCi/kg=0.66MBq/kg=660,000Bq
Cs137 0.15μCi/kg=0.006MBq/kg=6,000Bq

揮発性放出(原子炉のなかみのうちきほん気体ばっかり出た?)の条件
Sr89 9μCi/kg=0.33MBq/kg=330,000Bq
Sr90 1.1μCi/kg=0.04MBq/kg=40,000Bq
Cs137 0.1μCi/kg=0.004MBq/kg=4,000Bq
である。

現在の穀類・野菜の暫定基準値はSrの影響も含めて放射性Csの値を指標としていて500Bq/kgとなっている。
この報告書の前提条件ではそれよりも一桁大きい、という結果になるようだ。
なお、報告書文章中のConcentrate Factorは濃縮係数で、生物濃縮の割合を示している。ここでは、野菜で 0.1 ~ 0.15 米麦粒で 0.02 ~ 0.03としていて、環境(ここでは土壌)の濃度に対してどこまで吸収するかという割合を想定している。つまり報告書が作られた1960年当時の常識の限りにおいては生物濃縮はおこらない、とされていることがわかる。今でもそうであることを願いたい。

問題は、今後どれだけの降下量があるのか?という点だ。それによりすべて変わってくる。まぁ、この報告書の1C/m2は1Ci/m2であれば、それ以前の前提条件如何にかかわらず、現状の放射性降下物ならば、影響は皆無とは言えないにせよ、嘆いたり心配するほどじゃないぞ、という考え方も可能だろう。

だが、実際のところ、報告書の前提条件や真偽はホントはどうでもよろしい。今後ホントに必要なことは、放射性降下物と実際の農産物の放射能レベルの継続的・長期的モニタリングなのだ、ということは間違いない。行政も私たちもマメなおシゴトをいくつか増やさにゃならん時代に突入したようだ。

官邸に意見投稿

いや、福島近辺で起きて、今進行している事態にどうしていいか判らなくて、とりあえず首相官邸に意見を投稿してみることにした。
官邸サイトの「ご意見募集」のリンクから投稿しようとすると「2000字以下」とある。
やべぇ、作った原稿は4000字超だ・・・。ええい、細かくして送っちゃえ、とばかりに送ったのが下記の原稿であります。
やっぱ長かったかな・・・。

****************************
内閣総理大臣 管直人様

私は群馬県でホウレンソウやカキナを含む野菜を生産している農家のものです。
去る2011年3月23日に原子力安全委員会より「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について」と題する報道発表がされ、これによりますと事故後から24日午前0:00までの約12日間に積算値で100mSvを超える被曝を受ける地域が示されていて、報道にもありますが、この地域には福島第一原発から30キロ以上離れた屋内退避区域の外であるいわき市、川俣町、飯館村の一部も含まれます。

今回の試算の最低レベルである100mSvは24日までに既に被曝している線量でありますが、同発表では放射線の影響を受けやすい1歳児が一日中屋外にいた場合を想定していて、屋内では屋外と比べて4分の1から10分の1に放射線の影響を低減させることができるので、退避区域を変える必要はないとコメントされたことが報道されています。

しかし、「原子力施設等の防災対策について」(昭和55 年6 月30 日原子力安全委員会決定(最終改訂平成22 年8 月24 日))によれば、

1.放射性ヨウ素による小児甲状腺の等価線量を含む内部被ばくによる等価線量の予測線量値が100,000~500,000μSv(すなわち100mSv~500mSv)となる場合には
「住民は、自宅等の屋内へ退避すること。その際、窓等を閉め気密性に配慮すること。ただし、施設から直接放出される中性子線又はガンマ線の放出に対しては、指示があれば、コンクリート建家に退避するか、又は避難すること。」

2.また、同予測線量が500,000μSv以上(すなわち500mSv)となる場合には
「住民は、指示に従いコンクリート建家の屋内に退避するか、又は避難すること。」

と定められています。

以上のことから、国民のひとりとして、以下の3点についての実現を切実にお願いいたしたくご連絡するものです。

1.仮に常時建物内にいたとしても、24日の時点で屋内退避の基準値の少なくとも1/10から1/4の線量を被曝していると推定されます。もし、この状態が24日以降36日~98日続く可能性があれば、積算値で100mSvを超えることになるという予測となり、同安全委員会の決定によれば30km圏外の屋内退避の勧告が必要となると考えます。

屋内退避や県外への避難には時間がかかると思います。ことは人命にかかわる問題ですので、予測値に達する可能性がある場合は早めの避難勧告が必要と考えます。
退避区域を変える必要がない、ということは今後は被曝状況は改善される見込みが確からしいということだと思いますが、そうであるならばその根拠を公に発表していただきたいのです。

<<次のメールに続きます>>

私は群馬県でホウレンソウやカキナを含む野菜を生産している農家のものです。
一番目のメールに引き続き、お願いを申し上げます。

2.今回の発表は放射性ヨウ素により1歳児の甲状腺が既に受けたとされる等価線量ようですが、被曝はセシウム等ヨウ素以外の多くの核種でも受けているだけでなく、人体は甲状腺の他でも被曝を受けており、それらの総計である実効線量の推定値は国民一人一人が自身の放射線によるリスクを把握する上でたいへん重要な数値であると考えます。ICRP勧告での年間の実効線量限度は一般人において1mSvと伺っています。SPEEDIでこの実効線量1mSv前後ををシミュレーションすることは可能だと思いますので、ぜひそれを公表いただきたいと考えます。
また、今日、明日、来週の行動を考えていくうえで、発生源からの放出物質の種類・量と気象条件による拡散の程度を加味した予測シミュレーションを必要としている方々は多いと考えます。その意味で1-2週間程度先の1mSv付近の線量等値線を表示した予測シミュレーションを発表していただきたくことを強く望みたいと思います。

<<次のメールに続きます>>

私は群馬県でホウレンソウやカキナを含む野菜を生産している農家のものです。
二番目のメールに引き続き、お願いを申し上げます。

3.私たちは野菜を生産する農家であります。これからも、私たちが生産する食べ物を多くの方にお届けしたいと考えています。その意味で私たちの畑がどの程度放射能汚染の影響を被るか、ということを「安全」か「危険」かではなく、数値で知りたいと考えます。
既に各地で生産された農産物について、放射能レベルの数値はたくさん公表されてはいますが、ICRPによれば、放射線は健康に確定的影響と確率的影響があるとされ、後者においては、少ない放射線レベルによる影響はないとは言い切れないと聞いております。
その意味で、現在生産されている農産物の放射能測定値だけではなく、福島第一原発という発生源における放射性物質の放出量と、気象条件による日本各地の放射能拡散の試算ー過去と未来についてーを公表いただきたいと考えます。

なぜならば、多くの生産物と同様に今作り始めてすぐできるものではないからです。農産物は天と地と、生物の営みの恵みを受け取るために、それ相応の時間を必要とします。それが可能かどうかを判断するためには、今現在収穫期を迎えた農産物の放射能レベルの測定値だけでは判断しようがないのです。

誰を対象にしているのか不確かな「安全」か「危険」かではなく、消費者の方々「ひとりひとりの日常生活の前提条件」に照らして、食べるべきか食べないべきか(住むべきかすまないべきか)を判断する考え方が今、求められていると思います。それはそのまま生産する者にとって作付をするべきか否かの問題に直結してきます。

お願いさせていただいた試算は多くの前提条件から成り立っていて、それなりの誤差はありうるものでしょう。また、それを発表することにより社会的混乱が起きるリスクも確かにあると思います。

しかし、ことは今現在の命に係わる問題であり、将来世代の命にまでも関わる問題です。だから、私を含む多くの国民はそれを求めていると思います。
情報がなければ悪いほうへ考えることは簡単です。情報がない中でため込んでいたエネルギーはどこかで爆発するのではないか、と危惧しています。

私たち農家は「国産だから安心安全だ」、「有機だから安心安全だ」とばかり、根拠が実は確かなものではない言葉の数々に安住していた面が確かにあると私は考えています。今回の自然災害をきっかけに生じた事件・事故はそのあやうい足元を直撃したものだと思います。

私たち農家はこの時を機会に、自分たちは消費者の方々と共に食べ物とはなんなのか?ということを新たに考えていきたいと考えています。
そのための基本的情報として、行政の皆様の持つ情報は、いま、たいへん重要になってきている局面を迎えているのではないでしょうか。

シミュレーションの前提条件、数値の解釈の基準や考え方、考えらえる誤差、見込んでいる安全率、その後のシミュレーションのスケジュールなど、理を尽くして説明していただくことは困難でしょうか?
私は現在ノルウェー気象研究所による試算を日常生活の指針にしていますが、放出された放射性物質についての情報がおそらく十分なシミュレーションではない、という前提で参考にしています。
http://transport.nilu.no/products/browser/fpv_fuku?fpp=conc_Cs-137_0_;region=Japan
日本政府ならばもっと確からしいシミュレーションができると確信しています。

総理は25日のメッセージで「モニタリングで得られた情報は迅速にすべて開示し健康に対する影響についてもしっかり説明してきた」とおっしゃられていますが、「今現在」のデータだけでは「不十分」なのです。
私たちは過去も現在も、大なり小なり不確かな将来のなかから、考えられうる将来の事態を想定して日常を生活していることはご理解いただけると思います。今回の原子力発電所の未曾有の事故に関して、その考えられうる将来の事態を予測する情報をお持ちなのは総理が責任を持たれている行政の方々だけなのです。

どうか私たち国民を信頼していただき、行政の皆様の持っている情報を信と理を尽くして語りかけていただきたい、と切に思う次第です。
****************************
原子力資料情報室のTwitterで何とも泣けてくるVideoの紹介があった。今は亡き忌野さん。
guitarist仲井戸の「感想」がなんとも切ない。

プロフィール

rainfrog23

Author:rainfrog23
就農15年目、群馬県高崎市の野菜農家のおやじ。30代までは都心に勤めるサラリーマンだった。生き物がたくさんいる環境での仕事を望み百姓志願。農園の名前、みずき彩菜(さいさい)です。

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